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大雨のニュースを見るたび、「もし自宅まで水が来たら、どうやって家を守ればいいの?」と思ったことはありませんか。
そんな水害対策の一つが、玄関や勝手口、車庫などへの浸水を防ぐ「止水板」です。
ただし、水は玄関だけから入ってくるとは限りません。車庫や掃き出し窓、勝手口だけでなく、大雨時にはトイレや浴室などの排水口から逆流することもあります。
だから大切なのは、止水板を買う前に、「わが家では、どこから水が入ってくる可能性があるのか」を知ること。
この記事では、止水板の仕組みから、玄関・車庫などへの設置方法、高さの考え方、価格、補助金まで、分かりやすく解説します。
あなたの家なら、どこに止水板が必要なのか。
まずはそこから一緒に確認していきましょう。
水害から家を守る「止水板」とは?

止水板とは、大雨などで道路や敷地にあふれた水が、玄関・勝手口・車庫などから建物内へ入るのを防止・軽減する設備です。
ただし、止水板を付ける場所を「とりあえず玄関」と決めるのはおすすめできません。
国土交通省は、浸水対策を考える際に「水防ライン」という考え方を示しています。
難しく考える必要はなく、家庭では「ここから先には水を入れない」という境界線と考えると分かりやすいでしょう。
◇まず「水防ライン」を考えてみる
たとえば、道路の奥に駐車場、その先に玄関がある家なら、水の流れを次のように考えます。
道路 → 駐車場 → 玄関 → 室内
道路が冠水すると、道路より低い場所へ水が流れます。
そこで、どこで水を止めるかを決めます。
パターン① 駐車場の入口で止める
道路 →【止水板】→ 駐車場 → 玄関
この方法なら、敷地への流入そのものを抑えられる可能性があります。ただし、駐車場入口は幅が広いため、大型の止水板や複数のパネル、中間支柱などが必要になる場合があります。
パターン② 建物の入口で止める
道路 → 駐車場 →【玄関の止水板】→ 室内
駐車場への浸水は許容し、住宅内への侵入を玄関で防ぐ考え方です。止水する幅を短くできる一方、勝手口や掃き出し窓など別の入口も確認しなければなりません。
つまり、「止水板をどこに付けるか」は、水がどこを通るかを確認してから決めるのがポイントです。
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◇玄関だけでなく「家を一周」して確認する
実際に自宅を見るときは、次の順番で確認すると分かりやすくなります。
| 場所 | 実際に確認すること |
|---|---|
| 道路 | 自宅敷地より高いか、低いか |
| 駐車場 | 道路から家に向かって下り坂になっていないか |
| 玄関 | 道路や地面より何段高いか |
| 勝手口 | 玄関より低くなっていないか |
| 掃き出し窓 | 庭の地面との高低差が小さくないか |
| 車庫 | 道路より低い位置にないか |
| 換気口など | 地面に近い位置に開口部がないか |
たとえば、玄関は道路より30cm高いのに、裏側の勝手口は地面とほぼ同じ高さという住宅なら、玄関だけに止水板を設置しても十分とは限りません。
水が、
道路 → 家の横 → 裏庭 → 勝手口
と回り込む可能性があるからです。
反対に、
道路 → 下り勾配の駐車場 → 車庫
という住宅なら、玄関より先に車庫側の対策を検討する必要があります。
国土交通省・経済産業省のガイドラインでも、止水板だけではなく、換気口や配管の貫通部分などを含めて浸水対策を考えることが示されています。
したがって、最初にやることは止水板の商品探しではありません。
①道路と敷地の高さを見る
→ ②水が流れそうな方向を見る
→ ③玄関・勝手口・車庫・掃き出し窓を確認する
→ ④「ここから先には水を入れない」という水防ラインを決める
→ ⑤その場所に合う止水板を探す
この順番で考えると、「わが家では、どこに止水板が必要なのか」が具体的に見えてくるはずです。
◇外水氾濫と内水氾濫は何が違う?
住宅の水害を考えるうえで、「外水」と「内水」の違いも知っておきましょう。
外水氾濫とは、一般的には河川から水があふれたり、堤防が決壊したりして発生する氾濫を指します。気象庁も、内水氾濫の対語として河川の氾濫を「外水氾濫」と呼ぶ場合があると説明しています。
一方、短時間に激しい雨が降り、排水能力を上回った雨水が地表面などにたまって浸水するのが内水氾濫です。
近くに大きな川がない住宅でも無関係とは限りません。
アスファルトやコンクリートで覆われた場所では雨水が地中へ浸透しにくく、地表にたまりやすい特徴があると気象庁は説明しています。
◇止水板を買う前にハザードマップを見る
止水板を購入する前に、まず確認しておきたいのが自宅周辺にどの程度の浸水リスクがあるのかという点です。
玄関用、勝手口用、車庫用、工事不要タイプなど、止水板にはさまざまな種類がありますが、いきなり商品を探しても「自宅にはどれが必要なのか」はなかなか判断できません。
そこで活用したいのが、国土交通省・国土地理院のハザードマップポータルサイト。
自宅住所を入力すると周辺の災害リスクを地図上で確認でき、洪水だけでなく、内水や高潮などについても調べられます。
特に見落としたくないのが内水による浸水です。
「近くに大きな川がないから大丈夫」と思っていても、短時間に大量の雨が降れば、排水が追いつかず道路などに水がたまり、その水が敷地へ流れ込むことがあります。
たとえば、自宅前の道路に水がたまった場面を想像してみてください。
道路から玄関へ向かって敷地が低くなっていれば、玄関が水の入口になる可能性があります。反対に、玄関は高くても、道路から車庫へ下り坂になっていれば、注意したいのは車庫側でしょう。
庭側に低い勝手口や掃き出し窓があれば、そこへ水が回り込むケースも考えられます。
こうした「水が入ってきそうな場所」をふさぐために使うのが止水板です。
ただし、ハザードマップに「浸水深0.5m未満」と表示されていたからといって、単純に高さ50cmの止水板を購入すればよいわけではありません。
同じ浸水想定区域でも、道路より玄関が高い家と、道路より車庫が低い家では条件がまったく異なります。道路と敷地の高低差、土地の傾斜、開口部の位置、水が流れてくる方向なども一緒に見る必要があります。
そのためハザードマップを確認した後は、実際に自宅の外へ出て、
「大雨で道路に水があふれたら、最初にどこへ流れてくるだろう」
という視点で、玄関・勝手口・掃き出し窓・車庫を見てみましょう。
玄関から入りそうなら玄関を守る止水板、車庫へ流れ込みそうなら広い間口に対応できる止水板というように、守る場所が分かってから製品を選ぶと、自宅に必要なタイプを絞り込みやすくなります。
ハザードマップを見る目的は、止水板の高さをそのまま決めることではありません。
「わが家では、どこから水が入りそうなのか」を考えるための最初の手掛かりにすること。
ここが、止水板選びのスタート地点になります。
どんな止水板を選べばいい?
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止水板には「板を1枚立てるもの」だけでなく、さまざまな構造があります。
大きく整理すると次のようになります。
| 種類 | 主な特徴 | 工事 | 保管 | 向いている場所 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 脱着式 | 必要なときだけ取り付ける | 製品による | 必要 | 玄関・店舗・車庫など | 大雨前に人が設置する必要がある |
| 常設式 | 設備を常時設置しておく | 原則必要 | 基本不要 | 建物入口・施設 | 点検・メンテナンスが必要 |
| 起伏式 | 床面等から立ち上げる | 必要 | 基本不要 | 車庫・施設入口など | 設備規模・施工条件を確認 |
| 跳ね上げ式 | 常設された板を起こして使用 | 必要 | 基本不要 | 出入口など | 平常時の納まりも確認 |
| 簡易設置型 | 水圧や構造を利用して設置 | 不要な製品あり | 必要 | 住宅・店舗など | 設置可能な床面条件を確認 |
| レール・支柱式 | 両側レール等に板を固定 | 必要 | 板の保管が必要 | 玄関・車庫・大型開口 | 壁・床への施工条件を確認 |
「一人で設置できるか」「何分で設置できるか」「何kgなのか」は種類だけでは判断できません。
必ず購入予定製品の仕様を確認してください。
◇工事不要でも製品差はかなり大きい
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具体例を見てみましょう。
古河電気工業の折り畳み式止水板「F-Shield」は工事不要で、止水高さ500mm。本体は1枚5.8kgで、2mの間口ならメーカー試験・想定条件で約2分の設置時間とされています。
一方、設置場所は硬く平坦な路面を想定しており、グレーチングや砂利道などへの設置は避けるよう案内されています。漏水量についても「完全に止水することはできない」とメーカー自身が明記しています。
もう一つの例が、オプテックスが取り扱う「フラッドセーフ ライト」です。
工事不要の脱着式で、標準品は対応間口幅700~1,950mm、製品高さ500mm、重量約7.3~11.3kg。2026年10月確認時点の希望小売価格は税込341,000~368,500円となっています。受注生産品では高さ200~500mm、対応間口幅650~2,350mmなどの仕様があります。
同じ「工事不要の止水板」でも、構造・重量・対応幅・価格・床面条件はまったく同じではありません。
◇玄関は「ドア幅」だけ測ってはいけない
玄関用の止水板を購入するときに、
「玄関が90cmだから90cm用を買おう」
と判断するのは危険です。
実際には、止水板をどこに固定するのかを先に決めます。
確認するのは、
| 確認場所 | 見るポイント |
|---|---|
| 左右の壁・柱 | 止水板や固定部材を取り付けられるか |
| 有効開口幅 | 実際に止水する左右の距離 |
| 床 | タイルの目地・段差・凹凸・傾斜 |
| 玄関ドア | 内開き・外開き、止水板との干渉 |
| 玄関ポーチ | 水がどちらから流れてくるか |
| 段差 | 道路・ポーチ・玄関床の高さ関係 |
| 周囲 | 別の開口部から迂回して水が入らないか |
特に床との密着は重要です。
パッキンを床へ押し付ける構造なら、床面の大きな凹凸、排水溝、グレーチングなどによって想定した性能を発揮できない製品があります。
「板が入口より長ければ使える」というものではありません。
◇勝手口と掃き出し窓を忘れない
道路側の玄関ばかりに目が向きますが、家の裏側も歩いて確認してください。
勝手口が玄関より20cm低ければ、玄関を止めても勝手口側が先に浸水する可能性があります。
庭が周囲より低く、水が集まりやすくなっていれば、掃き出し窓が浸水経路になることも考えられるでしょう。
道路側=危険、庭側=安全とは限りません。
テラス、物置、店舗の通用口、低い窓、床下換気口なども、水防ラインの内側に入れる必要があるのか確認します。
◇車庫は玄関より難しい
車庫・ガレージではさらに慎重な検討が必要です。
玄関より間口が広くなるため、一枚物ではなく複数枚のパネルや中間支柱を使用する製品もあります。幅が大きくなれば、板のたわみ、固定方法、支柱、重量、設置人数、保管場所まで考えなければなりません。
そして、
「シャッターが閉まっているから大丈夫」
とも限りません。
通常のシャッターが浸水防止性能を持つとは限らないため、止水性能が必要なら止水用途として設計された製品かどうかを確認してください。
特に注意したいのが、
道路
\
\ 駐車場
\
車庫
というように、道路から車庫へ向かって下り勾配になっている住宅です。
水が自然に車庫側へ集まりやすいため、止水板だけではなく排水設備、車庫内設備、電気設備、車両の移動計画などを含めて検討する必要があります。
地下・半地下部分について、気象庁は雨水がたまる空間が小さいため、短時間のうちに浸水・冠水深が急激に上昇する傾向があり、生命に関わる危険があると注意喚起しています。
道路が冠水してから「車を別の場所へ移そう」「今から止水板を付けよう」と外へ出るのは避けてください。
◇では「何cm」を買えばいい?
ここが最も気になるところでしょう。
しかし、
「一般家庭なら50cm」
という一律の答えはありません。
確認すべきなのは、
想定浸水深
+道路と敷地の高低差
+玄関など開口部の高さ
+土地の傾斜
+水の流入方向
+過去の浸水状況
+建物構造
+製品の設計条件
です。
国土交通省も、設定浸水深や土地形状などを踏まえ、浸水を有効に防止できる場所に設定浸水深以上の高さの止水板を設置する考え方を示しています。
ただし、これは「ハザードマップの浸水深=買う止水板の高さ」という意味ではありません。
水深が大きくなれば、止水板に作用する水圧も大きくなります。高さだけを上げれば安全になるわけではなく、その水圧に耐えられる板・支柱・固定部・建物側の構造が必要になります。
高い板を自己判断で取り付けるより、想定する水位が大きい場合はメーカーや施工業者へ現地条件を示して相談する方が確実です。
止水板はいくらかかる?
止水板を検討するとき、やはり気になるのが価格です。
一つの目安として、品川区は2026年度の案内で、止水板の設置費用を住宅向け20万~40万円、集合住宅向け40万~80万円としています。これは全国共通の相場ではありませんが、「家庭用なら数万円で済む」と決めつけない方がよいことが分かります。
実際の商品を見ると、工事不要タイプでも価格はさまざま。
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たとえば「フラッドセーフ ライト」は、高さ500mmの標準品で税込341,000~368,500円。幅や高さを指定する受注生産品では税込412,500~451,000円となっています。工事不要ですが、設置環境によっては工事が必要になる場合もあるため、購入前の確認が必要です。オプテックス
つまり、止水板は「工事不要=安い」「玄関用=数万円」とは限りません。
さらに工事型では、本体だけでなく、レールや支柱、固定金具、アンカー、現地調査、施工費などが加わることがあります。
そのため見積もりを取るときは、
「止水板はいくらですか?」ではなく、「この玄関に設置して使える状態にするまで、全部でいくらですか?」
と確認するのがポイントです。
補助金を使える地域なら、自己負担が大きく変わる
止水板は決して安い設備ではありませんが、自治体によっては購入費や設置工事費への補助があります。
2026年度の実例を見てみましょう。
| 自治体 | 補助内容 | 上限額 |
|---|---|---|
| 品川区 | 個人は設置費用の4/5 | 100万円※ |
| 大田区 | 個人の設置工事は4/5 | 100万円※ |
| 大田区 | 個人の簡易型止水板購入は4/5 | 25万円 |
| 倉敷市 | 購入・設置工事等の1/2 | 20万円 |
※居住・登録状況などによって上限や条件が異なります。品川区では2026年度の申請受付を11月末までの予定とし、予算額に達した場合は終了することがあると案内しています。
たとえば、仮に40万円の設置費用がすべて助成対象となり、4/5の助成が適用される制度なら、計算上の助成額は32万円、自己負担は8万円となります。
ただし、実際の助成額は自治体の対象経費、上限、申請者の条件、審査などによって決まるため、購入前に確認してください。
特に注意したいのは「買う前に補助金を確認する」こと
ここは重要です。
自治体によって申請するタイミングが違います。
たとえば品川区では、止水板の購入・設置前に申請し、交付決定後に製品手配や工事を進めるよう案内しており、先に契約や設置をすると助成対象外になる場合があります。
一方、大田区では2026年度の案内で、工事型は工事着手前の申請、簡易型止水板は購入後速やかな申請とされており、同じ止水板でも制度によって手続きが異なります。
そのため、止水板を買う前には「自分の自治体に補助制度があるか」「先に申請が必要か」を必ず確認しておきましょう。
購入前は、この6項目だけ確認する
細かなチェック項目を何十個も覚える必要はありません。
| 確認すること | なぜ必要? |
|---|---|
| どこを守るか | 玄関・勝手口・車庫などで製品が変わる |
| 開口部の幅 | 止水板のサイズを決める |
| 必要な高さ | 想定する浸水と設置条件を確認する |
| 床・壁の状態 | 傾斜や凹凸によって設置できない場合がある |
| 総額はいくらか | 本体以外の工事費なども確認する |
| 補助金はあるか | 自己負担を抑えられる可能性がある |
止水板の価格は、「本体○万円」だけを見ても判断できません。
玄関なのか車庫なのか、工事が必要なのか、補助金を利用できるのかによって、最終的な負担額は大きく変わります。
だからこそ、設置場所を決める → 採寸する → 総額の見積もりを取る → 補助制度を確認する → 購入する。
この流れで進めると、「思ったより高かった」「補助金を使えるはずだったのに先に購入してしまった」といった失敗を防ぎやすくなります。
止水板の設置方法
止水板は、購入して置いておくだけでは役に立ちません。特に脱着式は、大雨になる前に自分で取り付けられる状態にしておくことが重要です。
購入したら、晴れた日に一度、本番と同じように設置してみましょう。
実際に試すと、「意外と重い」「固定方法が分からない」「一人では難しい」「物置から出すのに時間がかかる」といった問題が見つかります。国土交通省も、脱着式止水板について事前の設置訓練などを重要としています。
◇重さと設置方法もチェックする
止水板を選ぶ際は、止水性能だけでなく、自分や家族だけで設置できるかも確認してください。
特に高齢者や一人暮らしでは、本体重量だけで判断せず、持ち運びやすさ、必要な部品、工具の有無、設置にかかる時間まで見ておきたいところです。
保管場所も重要で、物置の奥ではなく、大雨が予想されたときにすぐ取り出せる場所が適しています。
◇水が来る前に設置する
止水板は、玄関まで水が来てから取り付けるものではありません。
大雨が予想されたら気象情報を確認し、まだ屋外で安全に作業できる段階で設置を終えることが基本です。
| 状況 | 行動 |
|---|---|
| 平常時 | 設置練習・部品確認 |
| 大雨予報 | 止水板を準備 |
| 雨が強まる前 | 安全を確認して設置 |
| 道路冠水後 | 無理に屋外へ出ない |
| 避難が必要 | 止水作業をやめて避難 |
どれほど性能の高い止水板でも、人の安全より優先するものではありません。
「水が来たら設置」ではなく、「水が来る前に設置する」。この使い方まで含めて準備しておくことが、止水板を水害時に役立てるポイントです。
家まるごと水害対策
止水板を玄関に設置したからといって、家全体の水害対策が終わるわけではありません。
住宅への浸水は、大きく考えると「外から入ってくる水」と「排水管から上がってくる水」があります。
国土交通省の浸水対策ガイドラインでも、出入口への止水板だけでなく、換気口などの開口部、下水道からの逆流、配管の貫通部分、電気設備まで含めて対策する考え方が示されています。
ここでは止水板を中心に、実際の一戸建てをイメージしながら家をまるごと確認してみましょう。
まずは「外から入ってくる水」を止水板で防ぐ
大雨で道路に水がたまった場面を想像してください。
最初に確認したいのは、その水が自宅のどこへ向かうのかです。
玄関へ向かうなら玄関、道路から駐車場へ流れ込むなら車庫、家の横を通って裏庭へ回り込むなら勝手口や掃き出し窓も確認します。
特に注意したいのが、道路より低い場所。
たとえば、
道路より玄関は高い → 玄関は比較的水が入りにくい
ところが、
道路から車庫へ下り坂 → 車庫へ水が集まりやすい
という住宅なら、玄関よりも車庫側の止水対策を優先して検討することになります。
反対に、玄関・車庫を止水しても、裏庭に面した掃き出し窓が低ければ、そこが別の入口になる可能性もあります。
つまり止水板は、「玄関に付けるもの」ではなく、「水が建物へ入ってくる場所に設置するもの」と考えた方が分かりやすいでしょう。
国土交通省も、建物の外周などに「水防ライン」を設定し、そのライン上にある出入口や開口部などを一体的に対策する考え方を示しています。
次に「低い場所」を探す
自宅の周囲を歩くときは、ドアだけを見るのではなく地面に近い部分にも目を向けてください。
たとえば、玄関は地面から40cmほど高くても、勝手口は10cm程度しか上がっていない住宅があります。
庭側の掃き出し窓、床下換気口、半地下の車庫なども同様です。
水は基本的に低い場所へ向かうため、「玄関より低い場所はないか」という視点で家を一周すると、見落としていた浸水経路を発見しやすくなります。
特に半地下や地下部分は注意が必要です。
東京都下水道局も、半地下家屋や地下室は道路から雨水が流れ込みやすく、浸水すると水圧によってドアが開きにくくなる危険があると注意を呼びかけています。
止水板では防げない「排水口からの逆流」にも注意
家の外を確認したら、今度は室内です。
大雨の日に、
「トイレからゴボゴボという音がする」
といった異変が起こることがあります。
豪雨で大量の雨水が下水道管へ流れ込むと、管内の水位が上昇し、条件によっては宅地内の排水管を通って下水が逆流します。
道路面などより低い位置にトイレや浴室がある場合には、そこから下水が噴き出すおそれがあると東京都下水道局も説明しています。
ここが重要です。
玄関の止水板は正常に機能しているのに、トイレや浴室から水が上がってくることはあり得ます。
外から来る水と、排水管から来る水は侵入経路がまったく違うからです。
東京都下水道局では、逆流対策として逆流防止弁などを備えた排水ポンプ槽の設置を紹介しているほか、簡易的な対策として便器や浴室の排水口へ水のうを置く例も紹介しています。
「止水板+室内対策」で考える
ここまでを実際の住宅に当てはめると、確認する場所はかなり明確になります。
| 場所 | 具体的に見るところ | 考えられる対策 |
|---|---|---|
| 玄関 | 道路から水が向かってこないか | 止水板など |
| 勝手口 | 玄関より低くないか | 止水板など |
| 掃き出し窓 | 庭に水がたまりそうか | 開口部の止水対策 |
| 車庫 | 道路から下り坂になっていないか | 車庫用止水板など |
| 換気口 | 地面に近くないか | 開口部の浸水対策 |
| トイレ | 低い位置にないか | 逆流対策 |
| 浴室 | 排水口から逆流する可能性 | 逆流対策・応急的な水のうなど |
| 洗濯機周辺 | 排水口の位置 | 逆流への備え |
| コンセント | 床に近い位置にないか | 浸水前に安全確保を検討 |
| 家電・家財 | 低い場所に置いていないか | 安全なうちに高い場所へ移動 |
国土交通省のガイドラインでは、電気設備についても浸水リスクの低い場所への設置や、設備のかさ上げなどが対策例として挙げられています。
特に分電盤や電気設備が低い場所にある住宅、地下・半地下部分に設備が集中している建物では、専門業者への相談も含めて考えた方がよいでしょう。
土のう・水のうも「補助役」として考える
止水板と土のうは、どちらか一方だけを選ばなければならないものではありません。
玄関や車庫など、毎回同じ場所を守りたいなら、その開口部に合った止水板を準備する方法があります。
一方、土のうや水のうは、浅い浸水への応急的な対策として使われることがあります。東京都下水道局も、浸水への備えとして土のう・水のう・止水板などを案内しています。
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たとえば、
玄関 → 止水板
勝手口 → 止水板
必要な場所 → 土のう・水のうを補助的に使用
トイレ・浴室 → 排水系統の逆流にも備える
というように、水が入ってくる場所ごとに対策を変えるのが現実的です。
最後は「玄関」ではなく「家全体」を見る
水害対策で一番避けたいのは、
「玄関に止水板を付けたから、もう大丈夫」
と思ってしまうことです。
玄関を止めても、勝手口が低ければそこから入るかもしれません。勝手口まで守っても、庭側の掃き出し窓が低ければ別の経路が残ります。
さらに、外からの浸水を抑えられても、排水管から逆流する可能性は別に考えなければなりません。
だからこそ、家まるごと水害対策は、
「水がどこから入るかを探し、その入口ごとに対策する」
という考え方が基本になります。
その中心となる設備の一つが止水板です。
玄関だけではなく、勝手口、車庫、掃き出し窓、換気口、排水口、電気設備まで一度確認しておく。
そうすることで止水板も、単に「玄関の前に置く板」ではなく、自宅全体を水害から守るための水防ラインをつくる重要な設備として活用できるようになります。
まとめ
水害から自宅を守るために止水板を購入するなら、商品の価格や性能だけでなく、自宅のどこに、どのように設置するかを考えることが大切です。
まずは、国土交通省・国土地理院のハザードマップポータルサイトで、自宅周辺の洪水・内水・高潮などの浸水リスクを確認しましょう。
そのうえで、道路と敷地の高低差や水が流れてくる方向を調べ、玄関・勝手口・車庫など、浸水のおそれがある場所を確認します。
止水板を設置する場所が決まったら、開口部の幅や床面の状態を確認し、自宅に合った製品を選ぶ。 購入前には、自治体の補助金を利用できるかどうかも調べておきたいところです。
また、止水板だけで家全体の浸水を防げるとは限りません。大雨による排水管からの逆流や、換気口などからの浸水にも注意が必要です。
購入後は、実際に取り付ける練習を行い、必要な人数や設置時間、保管場所まで確認しておきましょう。
そして、大雨が予想されたら、気象情報や自治体の避難情報を確認し、安全に作業できる段階で止水板を設置します。
何よりも優先すべきなのは、住宅ではなく人の命です。 道路が冠水してから無理に設置したり、避難が必要な状況で作業を続けたりしてはいけません。
自宅に合った止水板を選び、平常時に設置方法を覚え、大雨が来る前に備える。
この3つを意識することが、止水板を実際の水害で役立てるための重要なポイントです。
参考情報・参考サイト
ぜひ教えてください。
「こんな防災情報を詳しく知りたい」
「この防災グッズ、実際に便利でした」
「わが家では、こんな備えをしています」
そんな情報も、BOSAI│いざというときの防災集にとって大切な情報です。 読者の皆さまからいただいた声を、これからの防災情報づくりに役立てていきます。
☔ 大雨・台風への備えで知りたいこと
🏠 自宅の浸水対策で困っていること
🎒 実際に使って便利だった防災グッズ
🔦 停電・断水時に役立ったアイテム
🚗 車に備えておいて助かった防災用品
💡 「これを詳しく調べてほしい」という防災テーマ
「商品名だけ伝えたい」「こんな防災グッズを見つけた」という短い情報でも構いません。 実際に使って分かったことや、災害への備えで疑問に感じていることも、ぜひお聞かせください。
誰かの「いざというとき」に役立つかもしれません。
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