【はじめに】
あなたは、「うちは大丈夫」「うちの地域は災害が少ないから安心」と思っていませんか?
しかし、近年の日本は地震・台風・集中豪雨・火災など、さまざまな自然災害が頻発しています。 しかもそれらは、突然、思いもよらないタイミングで起こるのです。
災害が起きたその瞬間、まず命を守るのは、**あなたが普段過ごしている“家”**の安全性です。
この記事では、「いざというときの防災集」の読者の皆さんに向けて、
- 家具の配置や固定状況
- 電気周りや火災のリスク
- 水害に備えた準備
- 非常食や備蓄の見直し
- 家族で共有すべき避難ルール
など、日常の中で見落としがちな危険ポイントを丁寧に解説していきます。
「読んでよかった」ではなく、「読んで命が守れた」と思っていただける内容を目指しています。

第1章|“命を奪う家具”を放置していませんか?
■ 家具の転倒が命を奪う!
大きな地震が発生したとき、建物の倒壊よりも先に人命を奪う原因になるのが、家具の転倒です。
実際に、2011年の東日本大震災や2024年の能登半島地震では、
- 重たい本棚や食器棚が倒れて下敷きになった
- タンスが避難経路を塞いで逃げ遅れた
- テレビや電子レンジが飛んできて負傷
などのケースが数多く報告されています。
背の高い食器棚や本棚、冷蔵庫などは、地震の揺れによって簡単に倒れることがあります。特に、転倒防止器具がついていない、もしくは壁に固定していない家具は要注意です。
また、テレビや電子レンジなどの比較的小さな家電も、地震時には意外な飛来物となって大きな怪我につながることがあります。
こうした危険から身を守るためには、家具をL字型の金具などでしっかりと壁に固定したり、天井との隙間に突っ張り棒を設置するなどの対策が効果的です。
テレビや電子レンジのような置き型の機器には、耐震マットを敷くことで飛びにくくなります。できるだけ背の低い家具を使うことも、安全性を高めるポイントです。
特に寝室や子ども部屋のように、就寝中に被害を受けるリスクが高い部屋では、家具そのものを減らすことも検討しましょう。
■ 家具の転倒危険度チェックリスト
| 家具の種類 | 高さ | 転倒防止器具の有無 | 固定の有無 | リスク評価 |
|---|---|---|---|---|
| 食器棚 | 180cm | ×(未設置) | × | ★★★★☆ |
| 本棚 | 160cm | △(突っ張り棒のみ) | × | ★★★☆☆ |
| テレビ | 50cm | × | × | ★★☆☆☆ |
| 冷蔵庫 | 170cm | × | × | ★★★★☆ |
| 電子レンジ | 50cm | × | × | ★★★☆☆ |
✅ リスク評価が3以上の家具は要注意!
■ いますぐできる対策
- L字金具で壁に固定する(最も効果的)
- 突っ張り棒を設置する(天井までの高さがある場合)
- 耐震マットを敷く(TVや電子レンジなど、平置きタイプに)
- 家具はなるべく低く配置する(背の高い棚は避ける)
- 寝室・子供部屋には家具を極力置かない

■ イラスト解説
┌──────┐
│ 食器棚 │ ← L字金具(壁と接続)
└──────┘
↑ 突っ張り棒 ↑ 耐震マット(床)
第2章|コンセント周りが火災の原因に!?
■ 実は多い「電気火災」
意外と知られていないのが、「家庭内の火災原因の多くは電気にまつわるトラブル」であるという事実です。
特に、コンセントにホコリが溜まってそこから発火する「トラッキング現象」や、タコ足配線によって過剰な電力が流れ、コードが熱を持って燃え出す事故などが挙げられます。
たとえば、ベッドの下やテレビ台の裏などはホコリが溜まりやすく、そこに延長コードを差しっぱなしにしていると、火花が散って出火することもあるのです。
さらに、電子レンジや加湿器など、消費電力の大きい家電を延長コードでつなぐ行為も極めて危険です。本来、これらの家電は壁のコンセントに直接つなぐのが鉄則です。
家庭で今すぐできる対策としては、まずコンセント周りのホコリを月に1度は掃除機などで吸い取ること。未使用の差込口には防塵キャップをはめておくのも効果的です。
また、延長コードはあくまで「一時的な使用」を前提としたものであり、長期間使い続けるのは避けましょう。
使用中のコードが熱を帯びていたり、焦げたような臭いがしたらすぐに使用をやめ、新しいものと交換してください。たったこれだけのことで、火災のリスクを大きく減らすことができます。
家庭内で発生する火災の原因のうち、最も多いのが電気のトラブルです。
特に多いのが以下のようなケース:
- コンセントにホコリが溜まって発火(トラッキング現象)
- タコ足配線で過電流が流れて発火
- 電源コードがねじれてショート
■ あなたの家も該当していませんか?
- ベッドの下や家具の裏でホコリが溜まっている
- 延長コードを複数重ねて使っている
- 高出力の家電(電子レンジ・暖房器具)を延長コードで使用している

■ 図解イメージ
壁│◯←コンセント
├─┬──── 加湿器(1500W)
│ └──── 電気ケトル(1300W)
│
└───(ホコリが溜まって火花)→ 発火!
■ 今すぐできる火災対策
- コンセントのホコリは月1回掃除機で吸い取る
- 防塵キャップを使って、使用していない差込口をふさぐ
- 延長コードは「一時的使用」のみに限定する
- 電力が大きい家電は、必ず壁のコンセントに直接つなぐ
- 使用中の電源コードが熱くなっていたら即交換!
第3章|水害対策してますか? 窓と排水口がキーポイント!
■ “都市型水害”が増えている
ここ数年、集中豪雨やゲリラ豪雨の被害が日本各地で急増しています。特に都市部では、アスファルトで覆われた地面が雨水を吸収できず、排水能力が追いつかなくなるケースが増えています。
その結果、川の近くでなくても道路の冠水や床下浸水が発生し、「まさかうちが…」という被害に遭う家庭が後を絶ちません。
家庭内で見落とされがちなポイントとしては、浴室や洗濯機の排水口からの逆流、窓サッシのすき間からの浸水、そしてベランダの排水溝が落ち葉やゴミで詰まっているといった点が挙げられます。
これらを防ぐには、排水口に逆流防止の専用キャップを取り付けたり、窓サッシにはすき間を埋める防水テープを貼っておくとよいでしょう。
また、台風や大雨が予報された際は、ベランダの排水溝を事前に掃除しておくことが大切です。さらに、家庭用の簡易型土のう(ウォーターバッグなど)を玄関に常備しておけば、急な浸水にもある程度対応できます。
- 集中豪雨やゲリラ豪雨の頻度が上昇
- 都市のアスファルト化による排水能力の低下
- 下水道の容量を超えて雨水があふれる
その結果、「うちは川の近くじゃないから大丈夫」と思っていた地域でも、床下浸水や道路冠水の被害が発生しています。
■ 家庭で見落としがちな3つの盲点
- 浴室や洗濯機の排水口からの逆流
- サッシのすき間からの浸水
- ベランダの排水溝の詰まり(落ち葉・ゴミ)
■ 対策方法
- 逆流防止用キャップを排水口に取り付ける
- 窓サッシに防水テープを貼っておく
- 台風前にベランダの排水溝を掃除する
- 土嚢(家庭用簡易タイプ)を玄関に常備しておく

第4章|非常食・備蓄は“安心感”の証明
■ 備蓄がある=防災意識が高いとは限らない!
「うちは備蓄もしてあるし、準備万全」と思っていても、それだけでは不十分な場合があります。
実際に災害が起きたときに、非常食の開け方や調理方法がわからなかったり、賞味期限が切れていて食べられなかったり、必要な道具(スプーンや水、カセットコンロ用のガスボンベ)が不足していたりする例が多く見受けられます。
例えばアルファ米は、お湯で15分、あるいは水で60分浸す必要がありますが、それを知らずに使えなかったというケースもあります。
単に「ある」だけでは意味がないのです。「使いこなせること」が安心につながります。
おすすめの習慣として、月に1度「防災チェックの日」を設け、備蓄品の期限や状態を家族で確認することがあります。
非常食はあえて実際に食べてみる日をつくり、味や量を知っておくと、本番でも安心です。備蓄リストはLINEグループや冷蔵庫に貼るなど、家族全員で共有しておくことが重要です。
「うちは水も食料も備えてあるから安心」という方、本当に使いこなせますか?
- 非常食の開け方や調理方法を知らない
- 賞味期限が切れていた
- 必要な道具(スプーンやガスボンベ)が不足していた
というケースは非常に多いのです。

■ 備蓄チェックシート(例)
| 品目 | 数量 | 賞味期限 | 使用法を把握? | 備考 |
| 水 | 12L | 2026/04 | ○ | 2L×6本 |
| アルファ米 | 10食 | 2025/10 | × | お湯で15分or水で60分 |
| カセットガス | 6本 | 2027/01 | ○ | ガスコンロあり |
| トイレットペーパー | 6ロール | – | ○ | 1ヶ月目安 |
■ ワンポイント
- 月に1度「防災チェックの日」を設ける
- アルファ米や缶詰は、あえて食べてみる日を作る
- 家族で「備蓄リスト」を共有(LINE・冷蔵庫など)
第5章|防災アプリ&家族のルール、決まってますか?
■ スマホは“命をつなぐツール”になる
スマートフォンは、災害時においても非常に重要な情報源となります。
特に近年の防災アプリは精度が高く、リアルタイムで緊急地震速報や豪雨通知を届けてくれるだけでなく、近隣の避難所の位置もすぐに確認できる便利なツールです。
例えば「NHK防災」や「Yahoo!防災速報」、「NERV防災アプリ」などが有名で、どれも無料で利用可能です。中でもNERVアプリは速報の速度と精度に定評があり、安心して使えるアプリです。
また、家族との避難ルールを事前に決めておくことも非常に重要です。たとえば、避難する際の集合場所を近くの公園や学校に決めておく、安否確認の手段としてLINEグループを使う、地震発生時には「頭を守る→逃げ道を確保→全員の無事を確認」という3つの行動を基本ルールとするなどです。
特に小さなお子さんには、簡単な言葉で「やるべきこと」を3つ程度に絞って覚えてもらうと、いざという時に落ち着いて行動できます。
近年の防災アプリは非常に優秀で、リアルタイムで気象情報や避難情報を通知してくれます。
■ おすすめアプリ比較
| アプリ名 | 緊急地震速報 | 豪雨通知 | 避難所マップ | 多言語対応 | 無料 |
| NHK防災 | ○ | ○ | △ | ○ | ○ |
| Yahoo防災 | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
| NERV | ◎(最速) | ◎(精度高) | ◎ | △ | ○ |
■ 家族のルールを“言葉にする”ことが命を守る
- 避難の集合場所(例:近くの公園、学校など)を決めておく
- 安否確認はLINEのグループを活用
- 地震発生時の優先行動「頭を守る→逃げ道確保→点呼」
- 小さな子どもでも覚えられる「3つのやること」を作る
【おわりに】
災害はいつ起こるかわかりません。予告もなく、突然あなたの生活を襲ってきます。
そしてそのとき、あなた自身や家族の命を守ってくれるのは、日頃のちょっとした意識と準備、そして毎日の生活習慣なのです。
今回、この記事で紹介したチェックポイントや備えは、どれも特別な道具や知識がなくても、すぐに始められるものばかりです。
今日から「少し意識を変える」だけで、明日の命を守れるかもしれません。
「いざというとき」のために、「今できること」から、少しずつでも行動を始めてみてください。
今日、ほんの少し意識を変えるだけで、未来の大切な命を守ることができます。
「いざというとき」のために、「今日できること」からはじめましょう。
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