🔒【災害後に急増する「犯罪・トラブル」から命と家族を守る方法】― 空き巣・盗難・女性や子どもを狙う危険/避難所で絶対にやってはいけない行動とは ―

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はじめに

大規模災害が起きた直後、私たちの意識は「自然災害そのもの」に集中します。倒壊した建物、止まったライフライン、避難の判断。どれも命に直結する重要な問題です。
しかしその裏側で、もう一つの災害が静かに進行していることは、あまり語られてきません。

それが、災害後に急増する犯罪・トラブルです。
空き巣、盗難、詐欺、避難所内の人間関係トラブル、そして女性や子どもを狙った被害。これらは「一部の地域の話」でも「特別な人の話」でもなく、どこでも・誰にでも起こり得る現実です。

近年はSNSを通じて、被害体験が次々と共有されるようになり、「実際に起きていること」としてのリアリティが一気に増しました。
本記事では、災害後に起こりやすい犯罪やトラブルを、恐怖ではなく“備え”に変える視点で整理していきます。


第1章

なぜ災害後に「犯罪・トラブル」は一気に増えるのか

― 社会の“ゆるみ”と人の心理 ―

災害が起こると、警察・行政・医療・救助といった社会機能は、人命救助と復旧対応に全力を注ぎます。その結果、治安維持や日常的な監視体制は、どうしても手薄になります。
同時に、被災者自身も極度のストレス状態に置かれ、判断力や警戒心が大きく低下します。

「今は非常時だから」
「助け合わなければいけない」
この気持ちは尊い一方で、悪意を見抜く力を鈍らせるという側面を持っています。

🔍 犯罪が起きやすくなる“条件チェック”

✔ 停電・夜間で周囲が暗い
✔ 見知らぬ人がいても違和感を持ちにくい
✔ 警察・自治体が多忙
✔ 被災者が疲労・不安状態

👉 3つ以上当てはまる状況は要注意


📌 コラム①

「助け合いのつもりだった」――避難所で起きた静かなトラブル

大きな地震のあと、体育館の避難所で過ごしていた30代の女性の体験です。
停電で薄暗い避難所には、家族連れや高齢者が多く、不安と疲労が漂っていました。

女性は周囲の雰囲気に押されるように、
「みんな大変だから」
「自分だけ警戒するのは冷たいかもしれない」
と感じ、できるだけ人に親切に接していました。

そんな中、何度か声をかけてくる中年男性がいました。
「荷物、見ておきますよ」
「トイレ、遠いから気をつけて」
一見、親切そのものだったそうです。

ところが、次第に距離が近くなり、
個人的な質問が増え、
夜になると女性の寝ている近くを何度も通るようになりました。

怖くなり、避難所の運営スタッフに相談したところ、
「同じような相談がすでに複数出ていた」
ことが分かりました。

結果的に男性は注意を受け、配置換えが行われ、大事には至りませんでした。
女性はこう振り返っています。

「非常時だからこそ、違和感を我慢してはいけなかった。
“いい人でいよう”としたことが、一番危なかったと思います。」

🔑 教訓
非常時でも、「距離を保つ」「線を引く」ことは失礼ではありません。
それは、自分を守る正当な行動です。

第2章

空き巣・盗難はこうして起きる

― 被災者の家が狙われる理由 ―

「被災者の家を狙うなんてあり得ない」
そう思いたい気持ちは自然ですが、現実には災害後こそ空き巣・盗難が増えやすいことが、多くの災害で確認されています。

理由は感情ではなく、状況の問題です。

🏠 狙われやすい家の特徴【一覧】

状況危険度
避難で無人★★★★★
窓ガラス破損★★★★☆
夜間・停電★★★★☆
貴重品を家に置いたまま★★★★★

🚫 やりがちなNG行動

  • 「すぐ戻るから」と戸締まりを省略
  • 貴重品を一か所にまとめて放置
  • 近所に声をかけず避難

✅ 最低限やるべきこと

  • 貴重品は分散 or 持ち出し
  • 可能な範囲で戸締まり
  • 近隣と「お互い注意」の声かけ

第3章

女性・子どもが特に狙われやすい理由

― 災害時の“見えない危険” ―

災害後の犯罪で、最も深刻で、最も表に出にくいのが、女性や子どもへの被害です。
避難所は「安全な場所」と思われがちですが、プライバシーがなく、人の出入りが多く、夜間は暗くなりやすいという特殊な環境でもあります。

被害が表に出にくい理由は、「非常時だから我慢してしまう」心理です。

⚠ 危険が高まる行動シーン

  • 夜に一人でトイレへ行く
  • 親切そうな人に個人的な話をする
  • 子どもを安易に預ける
  • 「大丈夫です」と違和感を流す

🛡 子ども・女性を守る行動ルール

✔ できるだけ複数人で行動
✔ 子どもから目を離さない
✔ 違和感は「気のせい」にしない
✔ ためらわず周囲・運営に相談


📌 コラム②

「まさか自分の家が」――避難中に起きた空き巣被害

台風による大雨で避難指示が出た地域に住む、50代男性の体験です。
夜間に避難指示が出たため、最低限の荷物だけを持ち、家族で避難所へ向かいました。

「すぐ戻れるだろう」
「周りもみんな避難しているし大丈夫だろう」

そう考え、
・割れた窓の応急処置はせず
・貴重品も家にまとめて置いたまま
避難したそうです。

翌日、自宅に戻ると、
玄関は無事だったものの、
裏の窓から侵入され、現金や通帳、貴金属が盗まれていました。

警察から言われた言葉が、今も忘れられないそうです。

「災害の翌日は、空き巣が一番多いんです。
被災者の家は“無人だと分かっている”から狙われやすい。」

男性は言います。

「自然災害だけを警戒して、人の怖さを考えていなかった。
それが一番の後悔です。」

🔑 教訓
「被災者だから狙われない」は幻想です。
被災者だからこそ、狙われる――この認識が命と財産を守ります。

第4章

避難所で絶対にやってはいけない行動

― “いい人”ほど危ない ―

避難所では「協力」「助け合い」が強調されます。しかしその空気の中で、断れない人・我慢する人ほどトラブルに巻き込まれやすいという現実があります。

善意は大切です。
ただし、無防備な善意は自分と家族を危険にさらすこともあります。

❌ 避難所NG行動ワースト5

  1. 知らない人に個人情報を話す
  2. 物資を無条件で預ける
  3. 単独行動を続ける
  4. 不快なことを我慢する
  5. 「非常時だから」と線引きをしない

✅ 覚えておきたい合言葉

「断る勇気は、防災力」


おわりに

災害は、自然だけがもたらすものではありません。
人の心の隙、社会の隙が生む“二次災害”が、私たちのすぐそばに存在しています。

この記事でお伝えした内容は、恐怖をあおるためのものではありません。
「知っているか、知らないか」
その差が、あなたや家族を守る大きな分かれ道になります。

どうかこの知識を、非常時の“心の装備”として、覚えておいてください。

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