
- はじめに|9月1日が「防災の日」である理由 🗓️⛑️
- 第1章|“最初の10分”を身体に入れる ⏱️
- 第2章|“壊れにくい・浸水しにくい・暗くても動ける家”へ 🏠
- 第3章|“ちょうどいい”防災グッズの選び方・作り方 完全版 🎒
- 第4章|情報を“命綱”にする — 公式 → 現地 → SNS 📡
- 第5章|家族会議は“紙1枚”で十分 🧑🤝🧑
- 第6章|学校・職場・地域で“チームの備え”に 🏫🏢🏘️
- 第7章|移動中のもしも(車・公共交通・徒歩) 🚗🚌🚶
- 第8章|心のケアと生活再建 🫶
- 第9章|写真・記録・保険のコツを“行動に落とす” 📷💼
- 第10章|SNSとのつきあい方:速さより“確かさ” 📱🧠
- おわりに|“完璧より、反復” ✅
はじめに|9月1日が「防災の日」である理由 🗓️⛑️
9月1日は、日本にとって“思いを行動に変える日”。1923年の関東大震災をきっかけに、私たちは「備えは命を守る日常の技術だ」と学び、1960年にこの日を「防災の日」と定めました。さらに、毎年、この「防災の日」である9月1日を含む8月30日から9月5日までの1週間を「防災週間」(ぼうさいしゅうかん)として、「防災知識の普及のための講演会、展示会等の開催、防災訓練の実施、防災功労者の表彰等の行事」が地方公共団体その他関係団体の緊密な協力を得て全国的に実施されます。
難しいことを覚える日ではなく、暮らしに合わせて備えを今年版に“上書き”する日です。家族の顔ぶれ、通学・通勤ルート、住まいの老朽具合、スマホの設定、常備薬やペットの世話――一年たつと、意外と変わっています。だから、去年の正解が今年もベストとは限りません。今日という合図で、小さく始めて、続けていく。それだけで安全の確率はぐっと上がります。
まずは三つの“すぐできること”。①連絡を決める:集合場所A(近所)/B(広域)/C(親戚)を紙に書き、災害用伝言ダイヤル171の使い方を10秒の定型文とセットで家族に共有。②持ち出しを置く:ヘルメット、懐中電灯、モバイル電源、笛、飲み水、連絡カードを玄関の定位置へ。扉の裏にフックを付け、30秒で背負えるか実際に試します。③手順を貼る:避難のしきい値(警戒レベル3で高齢者等は移動、夜は前倒し/強い・長い揺れで海辺は高台へ)や、ブレーカーやガスの元栓の場所を一枚にまとめ、冷蔵庫の内側に貼る。ポイントは“誰でも見れば動ける”こと。小さな文字は避け、大きく、はっきり、図や矢印を添えると安心です。
高齢の方やお子さんがいるご家庭では、言い方も道具も少し工夫を。たとえば「いまからゆっくり一緒に、紙どおりに動きます」と声をかける/机の下・頭を守る・走らないの三語だけを覚える/薬やおくすり手帳のコピー、眼鏡の予備、補聴器の電池は一袋にまとめ、名前を書いておく。ペットには水とフード7日分、迷子札、ケージ慣れを。どれも“特別な人だけの準備”ではなく、家族みんなの生活を守るための優先順位づけです。
最後に、完璧を目指さないこと。防災は筋トレに似ています。重いダンベルを一度だけ持ち上げるより、軽い重さを回数こなす方が効きます。今日10分、来週10分、季節が変わるたびにもう10分。連絡・持ち出し・手順の三点セットを少しずつ整えれば、それが“うちの標準”になっていきます。防災の日は、思いを形にするための最初の一歩。あなたの手の届くところから、いま始めましょう。印刷して冷蔵庫に貼る、家族LINEに写真で共有、近所の人と二人で訓練に参加――それだけでも前進です。
第1章|“最初の10分”を身体に入れる ⏱️
地震や豪雨の直後は、誰でも少しパニックになります。だからこそ、細かい知識より「体が勝手に動く型」を作っておきましょう。地震なら合言葉は「低く・守る・動かない」。机の下で頭を守り、揺れが収まったら火の元を見て、初期消火が無理ならすぐ離れます。ブレーカーとガス元栓の場所は“目をつぶっても手が届く”くらい覚えておくと安心。豪雨や台風は“前倒し”がカギ。暗くなる前に移動、警戒レベル3で高齢者等は避難、家族も早めに。海辺は「強い/長い揺れ=高台へ」を家族の合言葉に。火山域ならゴーグル・マスク、降灰の後は排水口の詰まりに注意。難しく考えず、月1回の“5分ミニ訓練”でOK。テーブルの下に入る、懐中電灯をつける、ブレーカー位置を指さす――この繰り返しが、いざという時の落ち着きにつながります。
イメージ
揺れを感じる → 机の下で頭を守る → 収まる → 火の元確認 → 初期消火 or 離れる → ブレーカー
今日のミニ点検
- 懐中電灯・ヘルメット・靴の「定位置」
- 災害用伝言ダイヤル171の“10秒定型文”
- 逃げ道に物がないか(夜でも歩ける?)
第2章|“壊れにくい・浸水しにくい・暗くても動ける家”へ 🏠
家は小さな避難所。まずは寝室の安全から。背の高い家具はL字金具と突っ張り棒、ガラスには飛散防止フィルム。頭の上に物を置かないだけでもリスクは大きく下がります。通電火災は感震ブレーカーで“自動でOFF”。水害は「家の入り口で止める」が基本。玄関や窓に止水板・土のう、床下換気口や配管の逆流も要チェック。雨の日に外周を歩き、どこに水がたまるかを“目で覚える”と判断が速くなります。停電には懐中電灯を各部屋1本、居間に置き型LEDランタン。電源はモバイル2台の交互充電+必要なら小型ポータブル。点検は季節の節目に5分で十分。小さな積み重ねが、住まいの“底力”になります。
在宅備蓄(家族4人・3日)
| 項目 | 量の目安 | 置き場所 | 補充のコツ | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 飲料水 | 12L+調理分 | 廊下収納 | 2か月ごと | 500mlは持出用へ回す |
| 主食 | 36食 | キッチン下 | 月1回回転 | ご飯/麺/パンを混ぜる |
| たんぱく | 18食分 | 同上 | 期限前に普段食 | 魚・豆・肉の順で |
| ガス缶 | 6本 | キッチン | 冬前に追加 | 湯・蒸し調理に強い |
| 簡易トイレ | 48回分 | トイレ棚 | 使ったら補充 | 防臭袋は厚手 |
| 電源 | 200Wh〜 | リビング | 毎月充電 | モバイル×2交互 |
5分点検矢印
家具固定 → 止水板の場所確認 → 電池/充電 → 排水ルートを歩いて確認

第3章|“ちょうどいい”防災グッズの選び方・作り方 完全版 🎒
「何を、どれだけ、どこに置くか」で不安は小さくなります。たくさん買い込むより、使う場面を想像して“届く・持てる・迷わない”配置を作ることが大事。ここでは、一次(持出)・二次(在宅72時間)・三次(在宅7〜14日)の3層で、家族の年齢や体力、住まいの条件に合わせて“ちょうどいい”を設計します。高齢の方やお子さんにも扱いやすいよう、軽さ・大きい文字・色分けを徹底。点検は“食べたら補充”のローリング方式で、無理なく続けます。
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考え方の土台(合言葉)
- 軽く・掴める・迷わない(一次:持出)
- 厚く・続く・補充が楽(二次:在宅72h)
- 余裕・交代・回復(三次:在宅7〜14日)
矢印フロー(設計)
想定する場面を書く → 必要最低限を決める → 家の動線に沿って置く → 家族で背負いテスト → 写真に撮って共有 → 月1点検
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セットの全体像(家族構成でカスタム)
セット別チェック一覧(目安量は大人1人)
| セット | 目的 | 主要アイテム | 目安量 | 置き場所のコツ |
|---|---|---|---|---|
| 一次(持出) | 1分で避難・24hしのぐ | ヘルメット/手袋/厚底靴/ヘッドライト/笛/水500ml/行動食/モバイル電源(1万mAh)/短ケーブル/連絡カード | 1式 | 玄関扉裏フック・椅子背もたれ |
| 二次(在宅72h) | 停電・断水でも暮らす | 保存水/主食/たんぱく/甘味/カセットコンロ+ガス/紙皿・ラップ/簡易トイレ/置き型LEDランタン/常用薬 | 3日分 | キッチン下・廊下収納・トイレ棚 |
| 三次(在宅7〜14日) | 長引く停電・物流寸断 | 追加水/主食/缶詰/乾物/予備ガス/ポータブル電源(300〜500Wh)/季節装備/衛生用品 | 7〜14日分 | 玄関土間・ベッド下・納戸 |
重量の目安(無理しない)
- 大人:7〜9kg(一次)/子ども:3〜5kg/高齢者:4〜6kg(杖や装具を考慮)
→ 重い物は背側・下へ。水は現地調達前提なら500mlを1本に。
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一次(持出)を作る:1分で掴む・30秒で背負う
中身(1人分の例)
- 安全:ヘルメット/軍手/厚底靴(玄関に並べる)
- 光:ヘッドライト(両手が空く)+小型ライト
- 音:笛(3回吹く→救助合図)
- 水・食:水500ml×1、ラムネ/ようかん/高カロリーバー(個包装)
- 電源:モバイル電源1万mAh+短ケーブル(端子は家族で統一)
- 情報:紙の連絡カード(集合A/B/C・171定型文・持病・薬)
- 雨寒:薄手レインポンチョ/アルミブランケット
- 衛生:ポケットティッシュ/除菌シート/個包装マスク
パッキング矢印
玄関で全部並べる → 必要最低限に減らす → 30秒背負いテスト → 家族で背負い交代 → 名札&顔写真を外側に
色分けポーチ(探さない仕組み)
赤=安全(ヘルメット/ライト/笛)|青=水食|黄=衛生|緑=情報(カード/地図/ペン)|灰=雑具
よくある失敗→対策
- 重くて動けない → 食は“高密度”&軽量に変更/水は現地補充も視野
- 使い方が分からない → ヘッドライトと笛は“触って点ける”練習
- 取り違え → 名札・色分け・家族写真で識別
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二次(在宅72時間)を厚く:温かい一杯と“洗い物ゼロ”
食と水(家族4人の目安)
| 項目 | 量 | コツ | 例 |
|---|---|---|---|
| 飲料水 | 12L+調理分 | 2L×6+500ml×12で運用 | 500mlは持出へ回す |
| 主食 | 36食 | パウチご飯/乾麺/パンを混ぜる | 朝=パン/昼=麺/夜=ご飯 |
| たんぱく | 24食分 | 魚缶・豆缶・レトルト肉 | ツナ・サバ・大豆・鶏そぼろ |
| 甘味 | 12〜16食分 | 気力の回復 | ようかん・チョコ・ビスケット |
| 熱源 | ガス6本 | 湯沸かし/蒸し調理重視 | 深型フライパン+蓋 |
| 食器 | 紙皿/紙コップ/ラップ | 洗い物をゼロに | ラップで皿を包む |
ミニ献立(“温かい一杯”)
- 朝:おかゆ+ツナ(袋ごと温め)
- 昼:うどん+卵(少水調理)
- 夜:スープカレー(レトルト+野菜少し)
→ 湯は再利用。燃料節約、片付け最小。
トイレ・衛生(重要)
- 簡易トイレ:1人1日4回×人数×日数+余裕分
- 防臭袋は厚手/便座に袋+凝固剤→結んで廃棄
- 手指は“石けん優先”+アルコール。水が少ない時はウェット+ラップ活用。
明かり・情報
- 置き型LEDランタン(広く拡散):家族の集合場所に“定位置”
- ラジオ(AM/FM/ワイドFM):“電池切れの保険”として
- モバイル電源×2台を交互充電(毎月1日)
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三次(在宅7〜14日)へ伸ばす:余裕と交代のための上乗せ
- 追加の保存水・主食・缶詰・乾物(パスタ/オートミール/雑穀)
- 予備ガス/固形燃料(※火気は換気・一酸化炭素に注意、屋外使用推奨)
- ポータブル電源(300〜500Wh目安):
- スマホ充電:おおよそ15〜25回(使い方で変動)
- LEDランタン・小型扇風機・CPAPなど“生活の質に効く機器”を優先
- 季節装備:
- 夏=冷感タオル/保冷剤(常温でも使えるタイプ)/日よけ帽
- 冬=寝袋/毛布/カイロ/断熱マット(床の冷え対策が効く)
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人・暮らし別のカスタム
高齢の方
- 大きい文字のラベル/軽いボトル(500ml)/片手持ちカゴ
- 常用薬7日+処方箋コピー/杖先ゴム・眼鏡予備・補聴器電池
- 夜間照明(足元センサー)をトイレまで連続配置
乳幼児
- 粉ミルク/液体ミルク・哺乳瓶・消毒用品・お尻ふき
- おむつ(1日6〜8枚目安)・着替え・お気に入りの小物(安心効果)
持病・障がい
- 服薬スケジュール表・予備バッテリー・医療機器の電源計画
- アレルギー表示の分かる非常食/嚥下配慮ゼリー
ペット
- フード7日分・水・トイレ砂・ワクチン記録・迷子札
- “ケージ慣れ”を普段から(避難所運用の鍵)
住まい別
- 高層マンション:断水・停電長期化に備え、**水は“分散小分け”**で運搬しやすく
- 低地・河川近く:止水板・土のう常備、ポータブル階段/ロープで垂直避難の動線確認
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電源と明かり:迷わない最小構成
使い分け
- ヘッドライト=移動・作業(両手が空く)
- 置き型ランタン=家族の共有光
- 小型ライト=個人携行
モバイル電源のコツ
- 1万mAh×人数(家族で端子を統一)
- ケーブルは短く(絡まり防止)+1本は“巻き取り式”
- 毎月1日に全台満充電→翌日に1台だけ使って確認
ポータブル電源(あると安心)
- 300〜500Whで“暮らしの質が上がる”
- 充電手段:家庭電源/車中給電/可能ならソーラーパネル
- 置き場所:足を引っかけない低位置、延長コードは“見える配線”
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水と衛生:節水で清潔を保つ
- 飲む水/調理水/生活用水を分けて考える
- 生活用水は浴槽ストック運用(フタを閉じてホコリ防止)
- 歯みがきは少量の水+キシリトールガム併用
- 手洗いは“泡→拭き取り→少量すすぎ”で節水
ミニ洗濯(タオル・下着)
- バケツ+少量洗剤→踏み洗い→圧搾脱水(タオルで挟む)→陰干し
- 使い捨て手袋で手荒れ防止
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調理と火気:安全最優先
- カセットコンロは水平な場所+換気+可燃物を離す
- 使用中は子どもから目を離さない/ボンベの向き確認
- 室内での炭・固形燃料は一酸化炭素中毒の危険が高い→屋外で
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収納・配置:動線で決める(文字イラスト)
玄関◎(一次) → 廊下収納■(水・主食) → キッチン下□(ガス・食器) → トイレ棚▲(簡易トイレ) → リビング◇(ランタン・電源)
ラベルの例
- 「水:飲む」「水:調理」「水:生活」
- 「ガス:残り3本で補充」
- 「トイレ:1回1袋・1凝固剤」
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予算別“まずこれだけ”プラン
| 予算 | 重点 | 具体例 |
|---|---|---|
| 1万円 | 一次+最小在宅 | ヘッドライト・モバイル電源・笛・水12L・パウチご飯/麺・缶詰・紙皿/ラップ・簡易トイレ少量 |
| 3万円 | 在宅を厚く | 置き型ランタン・カセットコンロ+ガス6本・簡易トイレ48回分・追加の水と主食 |
| 5万円 | 電源と快適 | 小型ポータブル電源300Wh・保温/防寒・季節装備・追加非常食 |
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時間別“仕上げ”プラン
- 30分:一次を玄関に吊るす/水と主食を1段に集約
- 90分:トイレ・ランタン・ガスを追加、家族で背負いテスト
- 週末2時間:三次(7日分)に拡張、ラベルと配置図を作成
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メンテナンス“つづく仕組み”
- 月1日:電源満充電・ヘッドライト点灯・コンロ着火テスト
- 季節替わり:衣類・防寒/暑さ対策を入替
- 雨の日:家まわり歩き(排水ルート観察)
- 旅行前:持出の再確認(空港行く前の“指差し”)
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よくある疑問と答え
- Q. 水はどれだけ? → 最低“1人1日3L”。500mlで小分けにすると高齢の方も扱いやすい。
- Q. 何から買う? → 光(ヘッドライト)→水→トイレ→熱源→電源の順でOK。
- Q. 置き場所がない? → “高さ”を使う(扉裏フック・棚上ボックス)。ベッド下も優良スペース。
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仕上げのチェック(家族で声に出す)
- 玄関:持出は30秒で背負える? → はい/いいえ
- 台所:ガスは何本残ってる? → __本(3本で補充)
- トイレ:簡易トイレは家族分×日数ある? → はい/いいえ
- リビング:ランタンは“ここ”で点く? → つく/つかない
- 連絡:連絡カードは全員のリュックに入ってる? → はい/いいえ
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この章は、“たくさん買う”のではなく“使える形に整える”ための設計図です。重さは無理せず、表示は大きく、色分けで迷わない。今日の30分で、玄関のフックと水の小分け、連絡カードの作成から始めましょう。少しずつ手を動かせば、道具は“心の余裕”に変わります。

第4章|情報を“命綱”にする — 公式 → 現地 → SNS 📡
情報は「集める」で終わりではなく、「行動に変える」までがワンセット。まず公式で“基準”を知り、現地の状況で“足元”を確認し、SNSは“補助輪”として活用します。家族で受信設定をそろえ、紙の地図にも避難先を書き込み、停電や通信障害でも使えるラジオや予備電源を用意。通知が鳴らない端末を放置しない、夜間に気づける音量設定にしておく—こうした小さな準備が、いざという時の迷いを減らします。ここでは「どんな情報を、どの順で、どの行動に結びつけるか」を、具体的な道具と手順で整理します。
1) 三層モデル:公式 → 現地 → SNS(役割分担と順番)
文字イラスト(優先の矢印)
【公式】自治体メール・緊急速報・気象情報
↓(基準=行動の目安)
【現地】水位・雨量・近隣の様子・避難所の開設
↓(足元の判断)
【SNS】一次情報の補完・周辺道路情報
↓(裏取り後に小さく使う)
強みと弱みの整理
| 層 | 強み | 弱み/注意 | 使いどき | 例 |
|---|---|---|---|---|
| 公式 | 用語が定義され行動基準に直結 | 情報がやや硬い | 行動の“しきい値”を決める | 警戒レベル/警報/避難情報 |
| 現地 | 足元の真実(遅れない) | 点が多く全体像は見えにくい | 家の前・通学路・川の様子 | 水位・雨量・避難所開設 |
| SNS | 現場写真・道路の小ネタが早い | 誤情報/古写真の再投稿 | 公式と現地を補完 | 通行止め、混雑の実況 |
2) 受信を“家族標準”にそろえる(スマホ・紙・ラジオ)
家族の受信セット
- スマホ:緊急速報ON/自治体メール登録/オフライン地図
- 予備電源:モバイル電源×人数分(1万mAh目安)+短ケーブル
- ラジオ:AM/FM/ワイドFM対応(手回し or 電池式)
- 紙の地図:自宅・職場・学校・祖父母宅・避難先A/Bをボールペンで記入
- 連絡:171の使い方メモ+10秒定型文(家族全員のリュックへ)
“気づける”設定のコツ
- 音量:就寝時も緊急速報だけは鳴る設定に(おやすみモード例外)
- 画面:省電力中も通知を表示/ロック画面で内容が見えるように
- 端末差:高齢者のスマホは“緊急ショートカット”をホーム最前列に
3) 情報→行動インデックス(決め方の型)
文字イラスト(行動の言い換え)
「警戒レベル3」→「高齢者等は避難を開始。家族も前倒し」
「線状降水帯のおそれ」→「今夜は外出しない・車を高台へ」
「強い/長い揺れ」→「海辺は高台へ直行(迷わない)」
「避難情報(避難指示)」→「集合Aへ徒歩、夜間はより早く」
家族用“3行メッセージ”テンプレ
- どこ(場所)/2) なに(状況)/3) どうする(行動)
例:「自宅周辺で警戒Lv3。祖母と集合Aへ徒歩移動。到着後171。」
4) ハザードマップは“色と数字”で読む(紙に落とす)
見るポイント(3ステップ)
- 自宅・職場・学校・祖父母宅を◎で囲む
- 最大想定の浸水深/土砂の色(数字)をメモ
- 避難先A(徒歩)・B(車)を太矢印で2系統
紙地図の追記(文字イラスト)
自宅◎ ──→(徒歩)避難A★
自宅◎ ⇒(車)避難B★ ⇒ 高台P▲(夜間OK)
×印=夜間に危ない場所(橋・アンダーパス・崖)
5) “現地の手がかり”を集める:水位・雨量・開設情報
足元の確認リスト
- 川:堤内の歩道が水に近い/濁りが増えた/漂流物が増えた
- 雨:雨足の変化(音・打ちつけ方)/短時間の強まりが連続
- 地面:側溝の逆流・マンホールの溢れ・庭や駐車場の水たまり
- 避難所:開設時間・受付方法・満床/空き状況(電話メモも残す)
15分サイクル運用(家族役割と矢印)
情報係(公式→要点3行) → 物資係(持出/在宅を確認) → 連絡係(家族LINEへ)
→ 必要なら「移動」の号令(迷い時間をなくす)
6) SNSは“検証して小さく使う”(誤情報から身を守る)
検証4点セット
- だれが(一次情報?/所属や肩書の有無)
- いつ(撮影時刻/投稿時刻)
- どこ(地図・ランドマークと一致)
- どう撮った(映像の連続性・不自然な編集)
NG例・対処
- “友人談/親戚談”が多い→一次情報を探す
- 昔の災害写真の再投稿→逆画像検索
- 恐怖のみ煽る投稿→ミュートで心の安全を守る
共有のしかた
- 家族グループには“要点3行+出典リンク”だけ
- 長いやり取りは個別に(電池と集中力を節約)
7) 通信が落ちた時の“回線多重化”(PACEの考え方)
PACE(Primary/Alternate/Contingency/Emergency)
| レイヤー | 回線 | 道具 | 使い方 |
|---|---|---|---|
| Primary | 携帯通信 | スマホ/LINE | 平時・通常連絡 |
| Alternate | 音声通話 | 通話/ショートメッセージ | 混雑時に短文で |
| Contingency | 171/公衆電話 | 10円/テレカ | 伝言を残して共有 |
| Emergency | ラジオ/掲示板 | AM/FM/避難所掲示 | 情報の受け取りに特化 |
車の活用
- シガーソケットで充電/ガラス面での受信良好
- ただし増水・強風・火災時は駐車場所に注意(アンダーパス回避)
8) “気づける家”にする:アナログの見直し
停電・通信断の強い味方
- ラジオ:電池サイズを家電と統一(単三に寄せる)
- 乾電池:使用量を月1で棚卸/古い物から前列へ
- ホイッスル:家族全員のリュック肩ベルトに結束バンドで固定
- ペンとメモ:玄関とリビングに各1セット(要点3行文化)
お知らせ板(冷蔵庫の内側に)
- 今日の警戒レベル/避難情報
- 家族の居場所(移動中/家/避難所)
- 次のチェック時間(例:00・15・30・45分)
9) 子ども・高齢者に“届く言葉”で伝える
子ども向け(短い三語)
- 机の下・頭守る・走らない
- 明るいところ・名札のある大人へ
- こわくても深呼吸3回
高齢者向け(安心の合図)
- いまから“ゆっくり”一緒に、紙どおりに
- この紙(1枚マニュアル)を“読む→指さす→動く”
10) 仕上げ:今日やる“情報タスク”チェック
矢印フロー(30分プラン)
受信設定そろえる → 紙の地図に避難A/Bを書く → 家族LINEに“3行メッセージ”テンプレを固定 → ラジオと電池を同じ引き出しへ → 171を10秒で言う練習
点検リスト(声に出して)
- 緊急速報:全端末で鳴る? → はい/いいえ
- 自治体メール:登録済? → はい/いいえ
- オフライン地図:入ってる? → はい/いいえ
- ラジオ:電源入る? → はい/いいえ
- 171:言える10秒文ある? → はい/いいえ
付録|“要点3行”の実例集(そのまま使える)
- 「自宅周辺で警戒Lv3。祖母と集合Aへ徒歩移動。到着後171。」
- 「線状降水帯の見込み。車を高台Pへ移動。夜間の外出はしない。」
- 「強い揺れを確認。火の元OK。ブレーカーOFFにして集合Aへ。」
- 「避難所Bが開設。家族は各自安全確認→直行。着いたら受付+水確保。」
この章の合言葉は、「届く・見える・わかる」。スマホと紙とラジオを“家族標準”にそろえ、情報を3行にまとめて行動に変える。これだけで、迷いが減り、動きが静かに速くなります。今日の30分で、受信設定のそろえ直しと紙地図の矢印、171の10秒練習から始めましょう。

第5章|家族会議は“紙1枚”で十分 🧑🤝🧑
緊張すると判断は遅れます。だから平時に“紙1枚”。集合はA(近所)/B(広域)/C(親戚)。171は「場所・無事/けが・次の行き先」を10秒で。役割は情報(要点化)・物資(点検/運搬)・連絡(安否集約/外部連絡)。要配慮者には個別袋と顔写真。子どもには「机の下・頭守る・走らない」、高齢者には「ゆっくり・一緒に・紙どおり」。15分で作る→読む→貼るで十分。“迷いの時間”が一気に減ります。
役割テンプレ
| 役割 | 仕事 | 例 | 交代 |
|---|---|---|---|
| 情報 | 公式→3行要約 | Lv3→集合A | 1h |
| 物資 | 在宅/持出の点検 | 水・トイレ・ガス | 朝夕 |
| 連絡 | 安否集約・外部連絡 | 171→家族LINE | 2h |
矢印フロー
安否未確認 → 171録音 → 集合Aへ → 合流不可ならBへ
第6章|学校・職場・地域で“チームの備え”に 🏫🏢🏘️
一人の備えには限界があります。学校は通学路の危険と引き取りルール、備蓄量や校内放送の聞こえ具合を確認。職場は連絡網・代替拠点・在宅勤務の基準・非常電源を定期点検。地域は消火器・スタンドパイプ・避難所の鍵の場所を地図化し、昼/夜で避難路を歩いて“本当の難所”を把握。訓練は一人より二人で参加が続きます。小さな連携が、大きな安心に変わります。
年間ミニ計画
- 春:通学路点検/物資棚卸し
- 夏:夜間避難歩行/非常電源テスト
- 秋:一斉訓練/引き取り再周知
- 冬:凍結・雪対策/高齢者宅点検
地域マップ(文字イラスト)
避難所A★ ←─(商店街)─ 自宅◎ ─(橋×)→ 河川
※増水時は橋を回避
第7章|移動中のもしも(車・公共交通・徒歩) 🚗🚌🚶
外出時は装備も情報も薄くなりがち。車には水2L、非常食、携帯トイレ、レインウェア、軍手、反射ベスト、ブースターケーブル。燃料は“半分で満タン”。アンダーパスや河川沿いは冠水しやすいので早めに回避。公共交通が止まったら、むやみに歩かず、一時滞在で休憩・情報・トイレを確保して体力温存。どうしても歩くなら、スニーカー・ヘッドライト・反射材で“見えやすさ”を上げましょう。子どもは「明るい場所で、名札のある大人へ」。
車載ミニ装備
- 水2L/非常食/携帯トイレ3回分
- レインウェア上下/軍手/反射ベスト
- ブースターケーブル/紙地図/モバイル電源
帰宅フロー
運行情報確認 → 一時滞在(休憩・水分) → 危険箇所チェック → 明るい時間に短距離で帰宅
第8章|心のケアと生活再建 🫶
再建はマラソン。まず睡眠・食事・日光のリズムを“少しでも”戻す。不安は紙に書き出し、「誰に相談」「何を依頼」に分解。手続きは罹災証明・応急修理・支援金/減免など複数の窓口にまたがるので、写真・レシート・時系列メモが強い味方です。清掃はマスク・ゴーグル・手袋・長靴で安全確保、カビや釘に注意。子どもには事実を短く、安心できる見通しと“選べる行動”をセットで。焦らず、一歩ずつ進めましょう。
記録テンプレ
| 日時 | 場所 | 事象 | 写真ID | 連絡先 | 次の行動 |
|---|---|---|---|---|---|
| 9/1 10:30 | 1F和室 | 床上浸水10cm | IMG_1234 | 役所A | 罹災証明 |
片付け道具
- マスク/ゴーグル/手袋/長靴
- 厚手ごみ袋/ブラシ/スクレーパー/消毒液

第9章|写真・記録・保険のコツを“行動に落とす” 📷💼
被害のあと、いちばん大事なのは「安全→記録→連絡」の順番です。片付けを先にしたくなりますが、まずは安全を確かめてから証拠を残すこと。写真・メモ・書類がそろっているほど、保険・公的支援・修繕の流れがスムーズになります。ここでは、誰でもすぐできる撮影の型、ファイル整理のコツ、連絡のテンプレ、保険の基礎、30日ロードマップまでを一気にまとめます。専門用語はできるだけやさしく、契約や自治体の違いで変わる部分は“一般的な目安”としてお伝えします。
安全→記録→連絡(基本フロー)
安全確認
→(電気ブレーカーOFF/ガス元栓閉)
→ 保護具(手袋・長靴・マスク・ゴーグル)
→ 写真・動画を撮る(全景→中景→近接)
→ 被害メモ・簡易見取り図
→ 罹災証明の準備・保険へ連絡
→ 片付け・応急措置(記録を取りながら)
撮影の鉄則「全景→中景→近接」+“物差しを入れる”
撮る順番とコツ
- 全景:家の外観/各部屋の入口から。被害の範囲を一枚で。
- 中景:1〜2mの距離で、床と壁が同時に写る角度。
- 近接:型番や破損部、シミ、ひび、泥の跡。名刺・定規・硬貨など大きさの基準を一緒に写す。
- 動画:部屋をゆっくり一周。口頭で「日付・場所・状況」を入れる。
- 時系列:入口→奥→天井→床の順に“一定のパターン”で。
- 光:逆光は避け、ライトやランタンで陰影を減らす。
- 人物:基本は写さない(プライバシー配慮)。写る場合は後ろ姿に。
- 重要:片付け前に撮る。撤去が必要なら“撤去前・途中・撤去後”の3段階で残す。
被害別チェック(例)
- 浸水:水位ライン、泥の高さ、濡れた家電の背面端子、床下点検口。
- 風害:屋根材の欠損、飛来物の痕、サッシ歪み、雨漏りの染みの広がり。
- 地震:基礎や壁のクラック(名刺が入る隙間か)、タイルの浮き、家具転倒痕。
- 土砂:流入方向、堆積厚み、屋外排水の詰まり。
- 火災・煙:焦げ・煤の付着、換気扇や天井裏の汚れ、臭気の強さ(メモ)。
フォルダ整理とファイル名のつけ方(迷わない仕組み)
フォルダ構成(文字イラスト)
2025_0901_台風被害
├─ 01_外観
├─ 02_1F_リビング
├─ 03_1F_キッチン
├─ 04_2F_寝室
├─ 10_家電_型番
├─ 20_見取り図・メモ
└─ 90_見積・連絡記録
ファイル名テンプレ
YYYYMMDD_場所_内容_連番.jpg
例)20250901_1F_LDK_床上浸水_001.jpg
クラウド運用
- 撮ったらすぐWi-Fiで同期/家族と共有フォルダ。
- スマホが不安ならUSBメモリにも二重保存。
- 紙のメモは撮影して「20_見取り図」にも保存。
家財台帳(被害リスト)を“ざっくりでも”作る
| 区分 | 品名 | 購入時期 | 価格目安 | 状態 | 写真ID | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 家電 | 冷蔵庫 | 2022/05 | 120,000 | 浸水・通電不可 | LDK_近接_012 | 型番:○○ |
| 家具 | ソファ | 2021/10 | 60,000 | 破損・泥汚れ | LDK_中景_008 | 布張り |
| 生活 | カーテン | 2023/03 | 15,000 | 泥汚れ・悪臭 | LDK_近接_020 | 2枚 |
※ 金額は思い出せる範囲で。レシートや保証書があれば写真を撮って添付。
連絡のテンプレ(3行で要点)
保険会社(例)
- 「自宅1Fで床上浸水10cm(2025/9/1夜)。」
- 「冷蔵庫・洗濯機が通電不可、床・壁に泥。」
- 「罹災証明取得予定。必要書類と次の手順をご教示ください。」
自治体(罹災証明の相談)
- 「住所:○○、1F床上浸水10cm。」
- 「写真・動画・見取り図あり。」
- 「申請に必要な持ち物と窓口の混雑状況を教えてください。」
修繕業者(相見積のお願い)
- 「LDK床張替え・壁クロス交換の見積希望。」
- 「写真・平面図あり、現地調査の可能日:9/5・9/6。」
- 「内訳(材料・施工・廃材・諸経費)明細でお願いします。」
連絡記録表
| 日付 | 相手 | 内容 | 担当者 | 返答期限 | 次アクション |
|---|---|---|---|---|---|
| 9/2 | 保険会社 | 事故受付・書類案内依頼 | 田中さん | 9/4 | 必要書類を集める |
見積もりの取り方(2〜3社で“内訳比較”)
- 依頼の出し方:写真と平面図を添付、施工範囲と仕上げレベルを明確に。
- 見るポイント:材料費/施工費/廃材処分/諸経費/単価表。
- 追加費用の発生条件を事前確認(解体後の隠れ損傷など)。
- Before/After写真を見積書と一緒に保存。
- 口約束は避け、メールや書面で残す。
罹災証明と保険の“よくある基礎”
- 罹災証明:被害の程度を自治体が公的に証明。写真・見取り図・被害の時刻や水位メモが役立つ。
- 火災保険の主な対象:火災/風災・雹災・雪災/水災(契約により)/破損・汚損などの特約。
- 地震保険:地震・噴火・津波による損害(火災保険とは別枠)。
- 時価と再調達価格:
- 時価=年数を差し引いた価値。
- 再調達=同等品を新たに買う値段。
- 免責金額:自己負担のこと(契約書で確認)。
- 臨時費用特約:片付け・仮住まい等に使える場合あり。
※ 実際の支払い条件は契約ごとに違うため、証券と約款の該当ページを写真で控える。
NG行動(やりがちポイント)
- 片付けてから撮影 → 証拠が不足。必ず前→途中→後で残す。
- 濡れた家電に通電 → 感電・故障拡大の恐れ。絶対に電源を入れない。
- 廃棄して領収書なし → 処分証明がなく精算で詰む。処分前に写真+領収書。
- 口頭での合意 → 後で条件がズレやすい。書面やメールで残す。
- 日付のない写真 → 信頼性ダウン。スマホの日時設定・位置情報を確認。
30日ロードマップ(例)
- Day 0–1:安全確認→撮影→連絡テンプレ送信→罹災証明の情報収集
- Day 2–4:申請書類準備→保険会社に必要書類の指示を再確認→相見積依頼
- Day 5–10:現地調査→見積比較→応急処置(記録しながら)
- Day 11–20:保険の査定対応→不足写真の提出→工期調整
- Day 21–30:契約→着工→Before/After撮影→支払い書類保存
子ども・高齢者にも“役割”を
- 子ども:写真係の助手(定規を当てる・番号札を置く・ライト照射)。
- 高齢者:口述メモ(いつ・どこで・どれくらい困ったかを話してもらい、家族が記録)。
- 家族の合言葉:「片付け前に、まず3枚(全景・中景・近接)!」
付録テンプレ(そのまま使える)
被害メモ(手書き用)
日時:__/場所:__/原因:__(雨・風・揺れ など)
被害:__(床上10cm・家電通電不可・壁クロス剥離)
写真ID:__/見積先:__/連絡済み先:__
保険会社への電話スクリプト(60秒)
「○○保険ご担当者さま、契約者の□□です。2025年9月1日夜に自宅1階で床上浸水が発生しました。被害は冷蔵庫・洗濯機の通電不可、床・壁の泥汚れです。写真・動画・見取り図を用意済みで、罹災証明を取得予定です。必要書類と次の手順、担当者名、ご連絡先を教えてください。」
この章のゴールは、「証拠を、迷わず、静かに、たくさん、残す」こと。前→途中→後の写真、3行メッセージ、フォルダ整理、相見積。どれも今日から始められます。迷ったら、まずは部屋ごとに全景1枚・中景2枚・近接3枚。そこからで十分、前へ進めます。
第10章|SNSとのつきあい方:速さより“確かさ” 📱🧠
SNSは速いぶん、誤情報も混ざります。投稿を見たら「誰が・いつ・どこで・どう撮った」を確認。過去写真は逆画像検索で見抜く。位置は地図のランドマーク、時刻は影や天気と整合を。共有(拡散)は、公式・報道・別経路の3ソースで裏取りしてから。フォローは公式を上位、通知は必要なものだけ。家族グループには要点3行+出典で短く共有し、電池と集中力を節約しましょう。“選ぶ力”が、あなたの防具になります。
検証リスト
- 投稿者は一次情報?/撮影日時は?
- 場所は地図と一致?/映像の連続性は自然?
通知の整え方
- 公式は常時通知ON
- それ以外はまとめて確認
おわりに|“完璧より、反復” ✅
防災は、がんばり過ぎないほうが続きます。今日の10分で“紙1枚のルール”、扉裏の持出、冷蔵庫のマップ、そして短い練習。季節ごとに少しずつ見直せば、それが“うちの標準”になります。迷ったら「早め・低め・短時間」。そして一人で抱え込まず、家族やご近所と“二人で参加”。あなたの小さな一歩が、だれかの明日を守ります。印刷して貼る、写真で家族に共有する、近所の人に声をかける――どれも立派な前進です。
この記事を書き終えていちばん強く感じたのは、「防災は知識の量より、手が動く仕組みづくり」だということです。専門用語を削ぎ落とし、子どもや高齢の方にも届く言葉へ置き換える作業は、私自身の備えを点検し直す時間でもありました。完璧さは要りません。玄関のフックを一つ付ける、紙を一枚貼る、家族で10秒の練習をする――その小さな反復が、明日の安心に直結します。道具は“安心を呼び戻す道具”、情報は“行動の言葉”に。どうか今日の10分を、あなたの暮らしの標準に上書きしてください。印刷して冷蔵庫へ、家族LINEで共有、ご近所と二人で訓練へ。この記事が、その最初の一歩をそっと後押しできたなら、書き手としてこれ以上の喜びはありません。
むずかしいところがちょっとあったかもしれません。でも今日は“防災の日”。あふれる防災知識を、できるだけやさしく、ぎゅっとひとつにまとめました。全部をいっぺんに覚えなくて大丈夫。まずは“できることを1つだけ”からでOKです。玄関にフックを付ける、非常持出を1か所に集める、家族の連絡カードを作る——どれも立派な前進。わからない所は飛ばして、あとで戻ってくれば大丈夫です。あなたの暮らしに合うペースで、少しずつ一緒に整えていきましょう。⛑️🧰
感謝のことば
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。あなたの小さな一歩が、大切な人を守ります。これからも一緒に、無理なく備えを続けていきましょう。季節ごとに少しずつ見直せば、安心は日常になりますよね。

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